いつもバイクに乗るときに履いている靴の、左足のつま先の上を指で押してみてください。
指が沈むほど柔らかいなら、その靴はシフトペダルをかき上げるたびに甲がすれ、転んだときに足を守るものがほとんどない状態です。
バイク用の靴は、「くるぶしをどこまで覆うか」「甲と靴底がどれだけ硬いか」「降りてから歩く時間がどれくらいあるか」の3つで選ぶと、自分に合う形がはっきりします。
普段の靴で乗ると、何が困るのか
ペダル操作で甲がすれ、ひもが引っかかる
多くのバイクは、左足のつま先でシフトペダルを上下させてギアを変えます。
布のスニーカーだと、ペダルをかき上げるたびに甲の同じ場所がこすれ、乗る回数が多いほど早く、生地が薄くなったり穴が開いたりします。
もう一つ気を付けたいのが靴ひもです。
ほどけたひもや長く垂れたひもは、ステップやペダル、チェーンのまわりに引っかかるおそれがあり、止まろうとして足を出したときに足が抜けないこともあります。

転んだときに、足は車体と路面にはさまれやすい
バイクが倒れると、足が車体の下になったまま路面をすべることがあります。
このとき、路面とのこすれ、車体の重さ、くるぶしへの衝撃が一度にかかるので、足首まで覆い、横から押されてもつぶれにくい靴ほど足を守る余地が残ります。
ただし、どんなに硬いブーツでも、強くぶつかる転び方ではけがを負うことがあります。
バイク用の靴はけがを「なくす」ものではなく、軽くする余地を増やすものと考えて選びます。
バイクに乗るときに避けたい靴
サンダル、かかとのないつっかけ、クロッグ型の靴:足が外れやすく、甲もかかとも守れません。
ヒールや厚底の靴:ペダルの感触が分からず、止まったときに足をついた瞬間にぐらつきます。
ひもが長く、ほどけやすい靴:ひもを結び直して短くしまえないなら、乗る日は履きません。
大きすぎるゴム長靴:靴の中で足が動き、ペダルの操作がずれやすくなります。
ブーツとシューズは、5つのタイプで違いがある
バイク用の靴は、筒の高さ(どこまで覆うか)で大きく分かれます。
| タイプ | 覆う範囲 | 守りの強さ | 歩きやすさ | 向いている乗り方 |
|---|---|---|---|---|
| レーシングブーツ | すねの上のほうまで | とても高い。足首の動きも制限して守る | 歩きにくい | サーキット、速度の高いスポーツ走行 |
| ツーリングブーツ | すねの中ほどまで | 高い | レーシングより歩ける | 高速道路を使う長距離のツーリング |
| ショートブーツ | くるぶしの少し上まで | くるぶしを覆う | 普段の靴に近い | 通勤、街乗り、日帰りツーリング |
| ライディングシューズ | くるぶし前後まで | 甲とつま先、かかとが中心 | いちばん歩きやすい | 通勤、街乗り、スクーター |
| オフロードブーツ | ひざ下まで | とても高い。すねまで硬い | 歩きにくい | 未舗装路、林道 |

通勤なら、ショートブーツかライディングシューズ
駐輪場から職場まで歩く、昼に外へ出る、という使い方なら、見た目がスニーカーに近いライディングシューズがいちばん続けやすい形です。
シューズ型でも、つま先とかかとに硬い芯が入り、左足の甲にシフトペダル用の当て布があるものを選べば、普段の靴との差ははっきり出ます。
幹線道路を毎日走るなら、くるぶしまで覆うショートブーツにしておくと、守られる範囲が一段広がります。
職場で履き替えられるなら、乗るときだけブーツにして、職場には普段の靴を置いておくのも一つの方法です。
スクーターや配達で乗るなら、止まって足をつく回数で選ぶ
スクーターにはシフトペダルがないので、甲のすれは起きにくくなります。
その代わり、配達のように1日に何十回も止まって足をつき、降りて歩く使い方では、靴底の滑りにくさと脱ぎ履きのしやすさが毎日の疲れを左右します。
この場合は、つま先とかかとに芯が入り、溝の深いゴム底で、防水のライディングシューズが使いやすい組み合わせです。
高速道路や長距離が多いなら、くるぶしの上まで
高速道路を使うツーリングでは、走る速度が上がるぶん、すねの中ほどまで覆うツーリングブーツが候補に入ります。
筒が長いブーツは、パンツの裾をかぶせればすき間風も入りにくく、雨や寒い時期にも足元が冷えにくいのも利点です。
その代わり重く、観光地で長く歩く日は疲れやすいので、休憩先でどれくらい歩くかも考えに入れます。
タイプの決め方
「バイクに乗っている時間」と「降りて歩く時間」のどちらが長いかで、まず筒の高さを決めます。
乗る時間が長く、速度も高いなら、くるぶしの上まで覆うブーツ。
歩く時間が長い通勤なら、ライディングシューズかショートブーツ。
そのうえで、次の見出しの「硬さ」と「防水」で候補を絞ります。
守りの性能は、硬い部分の場所とタグで見分ける
くるぶし・つま先・かかとを手で押して確かめる
店で手に取れるなら、まずくるぶし、つま先、かかとの3か所を指で押してみます。
くるぶしの位置に丸い硬いカップが入っていて、つま先とかかとに形のくずれない芯が入っているものは、ぶつけたときの衝撃を散らしやすい作りです。
左足の甲にシフトペダル用の当て布(シフトパッド)があるかどうかも、このとき一緒に見ておきます。
靴底は「ねじれにくさ」と「ペダルの感触」の両方で見る
靴の前と後ろを持って雑巾をしぼるようにねじってみると、バイク用の靴はほとんどねじれません。
この硬さが、足が車体と路面にはさまれたときに、靴ごとつぶれるのを防ぐ役目をします。
一方で、底が厚すぎるとブレーキペダルを踏む力加減が分かりにくくなるので、つま先側はペダルの感触が伝わる程度の厚さのものが扱いやすくなります。
雨の日に止まって足をついたとき滑らないよう、溝がしっかりあるゴム底かどうかも見ておきます。
タグにある4つの数字は「1」と「2」で読む
ヨーロッパの規格に合格したブーツには、CEマークと「EN 13634」という規格番号、4つの数字が付いています。
2の段階を多く取ったブーツほど、重く、硬く、歩きにくくなる傾向があります。
通勤用のシューズで筒の高さが「1」なのは、くるぶし前後までの形だからで、それだけで劣っているわけではありません。
日本で売られている靴には、この表示がない製品も多くあります。
表示がないときは、上の「手で押す」「ねじる」の確かめ方で、硬い部分がどこに入っているかを見分けます。

防水は「どこまで濡れたくないか」で選ぶ
雨の日も乗るなら、生地の内側に防水の膜が入った「防水」のブーツが候補になります。
タグに「WR」とあるものは、靴の中に水がほとんど入らないことを試験で確かめたものです。
ただ、防水のブーツでも、水は履き口から入ってきます。
雨の日は、パンツやレインウェアの裾をブーツの外にかぶせるのが基本で、裾をブーツの中に入れると、脚を伝った水がそのまま靴の中へ流れ込みます。
防水の膜が入ったブーツは、そのぶん夏は蒸れやすいので、晴れた日に乗ることが多い人は、通気のよいシューズと、雨の日用のブーツカバーを組み合わせるほうが快適なこともあります。
革のブーツやシューズは、乾いた状態で防水スプレーをかけておくと、小雨や水はねをはじきやすくなります。
上下のレインウェアとブーツの重ね方は、レインウェアの選び方の記事で手順にしています。
試着は、バイクに乗る動きで確かめる
バイク用の靴は普段の靴より硬いので、立っているだけでは合っているか分かりません。
店で次の点を一つずつ確かめると、買ってからの「痛い」「ペダルが踏みにくい」が減ります。
- 乗るときに履く厚さの靴下で試着している(冬は厚手の靴下で)
- 足がむくみやすい夕方の時間帯に試している
- つま先が靴の先に当たらず、歩いてもかかとが浮かない
- しゃがむように足首を曲げても、すねや足首の前が強く当たらない
- 展示車のステップに足を乗せ、つま先をシフトペダルの下にすっと入れられる
- 店の中を5分ほど歩いて、小指やくるぶしに当たる場所がない
- ひも靴なら、結んだひもをしまうポケットやカバーがあるか、短く結べる
シフトペダルの下に入らないほどつま先が厚い靴は、ペダルの高さを店で調整しないと、シフト操作がしにくくなります。
かかとが少し浮く程度なら、厚みのあるインソールを入れて調整できることもあります。

長く履くための手入れと、替えどき
雨で中まで濡れたら、インソールを外して丸めた新聞紙を詰め、風通しのよい日かげで乾かします。
早く乾かそうとしてストーブの前やドライヤーの熱風で乾かすと、革が硬くなったりひび割れたりすることがあります。
革の靴は、乾いたあとに革用のクリームを薄く塗っておくと、次の雨でも水がしみにくくなります。
替えどきの目安は、靴底の溝がすり減って平らになったとき、くるぶしやつま先の硬い部分にひびや割れが出たとき、転んで靴を強くこすったときです。
見た目に大きな傷がなくても、中の硬い部分が割れていることがあるので、転んだあとの靴は店で見てもらうと安心です。
冬の足先の冷えには、靴下と裾の重ね方で差が出ます。
重ね方は冬の服装と防寒グッズの記事で扱っています。
一足目で迷ったら、まずくるぶしが隠れる高さのものに絞り、店の中を数分歩いても足が痛くならない一足に決めます。





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