出かける朝、キーを回してセルのボタンを押しても「カチカチ」と鳴るだけで、エンジンが回らない。
メーターの明かりも、いつもより暗く見える。
こんなときは、まずバッテリーが原因かどうかを分けると、次にやることが決まります。
バッテリーが原因なら、充電で戻るのか、交換が要るのかを見きわめ、交換なら車体に合う「型式」を調べてから買います。

バッテリー作業の受け持ち、自分と店の境目
バッテリーまわりは、「測る・充電する・型式を調べる」までは自分、配線や発電の不調は店と分けます。
ただし、ケースが膨らんでいる、液がにじんでいる、卵が腐ったような臭いがする、充電中に異常に熱くなるバッテリーは、充電も始動もくり返さずに販売店やバイク店へ持ち込みます。
| 作業 | 自分でやってよい条件 | 店に任せる場合 |
|---|---|---|
| 電圧を測る・充電器で充電する | 火の気のない風通しのよい場所で、充電器とバッテリーの取扱説明書どおりにつなげる | 充電器やバッテリーの表示が読み取れない |
| 開放式の液の点検・補充 | 保護メガネと手袋をして、精製水(補充液)を上限線まで足せる | 液の減りが早い。VRLA(制御弁式)は補水しない(構造上できない) |
| 取り外し・交換 | シート下などすぐ手が届き、型式を確かめてあり、液入り充電済みのものを使う | カウルやタンクを外す、液を注ぐ必要がある、型式が分からない、少しでも自信がない |
| 充電しても、新品に替えてもすぐ上がる | 自分ではやらない | 発電・充電の装置の点検として店へ |
セルが回らないとき、バッテリーが原因かを切り分ける
始動しないときは、セルの回り方とメーターの明るさを見ると、バッテリーかどうかの見当がつきます。
| 起きていること | 疑うところ | 次にやること |
|---|---|---|
| メーターが点かない、ごく暗い | バッテリー上がり、端子のゆるみ | 端子のゆるみを見てから充電 |
| 「カチカチ」と鳴るだけ、セルが弱々しく回る | バッテリーの弱り | 充電してからかけ直す |
| メーターは明るいのに、セルがまったく反応しない | キルスイッチ、サイドスタンド、クラッチやブレーキの握り | 車種の始動の条件を取扱説明書で確かめる |
| セルは勢いよく回るのに、かからない | バッテリー以外(燃料など) | セルを回し続けず、店に相談 |
始動の操作はセルを長く回し続けず、かからなければ少し間をおいてからやり直します。
数回でかからないなら、充電か点検に切り替えます。
テスターで測ると、止めているときに12V以上あっても、セルを回した瞬間に大きく下がるなら弱っているサインです。
バッテリーが上がる3つの原因と、それぞれの予防
短い距離ばかり走っている
エンジンをかけるときに使った電気は、走りながら発電して取り戻します。
近所の買い物のような短い距離ばかりだと取り戻しきれず、充電不足が続いて、寿命も縮みます。
短距離が中心なら、ときどき長めに走るか、充電器で満充電に戻します。
電装品の電気を使いすぎている
ドラレコ、グリップヒーター、スマホの充電は、どれも車体の電気を使います。
とくにドラレコの駐車中の録画のように、エンジンを止めても電気を使い続ける配線は、数日乗らないだけで上がる原因になります。
キーをONのまま置いておくのも同じで、ドラレコの電源の取り方はドラレコの選び方の記事で取り上げています。
長く乗らずに置いている
バッテリーは、使わなくても少しずつ電気が減っていきます。
時計や盗難防止の装置の待機電力があると減り方が早まり、冬は寒さでかかりも悪くなります。
乗らない期間は、マイナス端子を外しておくか、バッテリーの表示や取扱説明書に書かれた周期で補充電します。
冬の朝の寒さ対策は、冬の服装と防寒グッズの記事にまとめています。

寿命の見方と、充電で戻るか交換が要るかの見きわめ
バッテリーの持ちは乗り方で大きく変わり、何年で替えると決まったものではありません。
目安としては、使い始めて2年前後から弱りやすくなります。
次のどれかに当てはまれば、交換を考える時期です。
- 2年以上使ったバッテリーが上がった
- 充電しても電圧が上がらない、充電器がいつまでも満充電にならない
- 充電して乗れても、数日でまたかかりにくくなる
反対に、消し忘れなど原因がはっきりしていて新しいバッテリーなら、充電で戻ることがあります。
ただし、上がったまま長く放っておいたバッテリーは、充電しても元に戻らないことがあります。
新品でもすぐ上がるなら、車体の発電・充電の装置を疑って店で見てもらいます。
充電器の選び方と使い方
自分のバッテリーに合うかを4つの点で見る
| 見るところ | 選び方 |
|---|---|
| 電圧 | 車体のバッテリーと同じ12V(古い車種は6Vの場合も)に対応 |
| バッテリーの種類 | VRLA(制御弁式・MF)対応。リチウムのバッテリーならリチウム対応と書かれたもの |
| 充電の電流 | バッテリー本体に書かれた指定の電流に合わせられる、小さい電流のもの |
| 充電の止まり方 | 満充電で自動で止まる、または維持の充電に切り替わるもの |
車用の大きな電流の充電は合わず、VRLAのバッテリーを急速充電すると、膨らみや破裂の原因になります。
冬のあいだつなぐなら、満充電後に維持の充電へ切り替わるメンテナンス用が向きます。
決まった電流を流し続けるだけの単純な充電器は、充電しすぎにならないよう時間を見て外します。
つなぐ順番と、充電する場所
充電は、車体から外して行うのが基本です。
車体につないだまま使える充電器もありますが、車体の取扱説明書で充電のしかたを確かめてからにします。
- 火の気がなく風通しのよい場所に置く(充電中は燃えやすい水素ガスが出る)
- 充電器の電源を切ったまま、プラス→マイナスの順にクリップをつなぐ
- 電源を入れ、満充電の表示が出るまで待つ
- 電源を切ってプラグを抜き、マイナス→プラスの順に外す
これはやらない
VRLAの密封栓を外す、ふたをこじ開ける。
開放式の液が減ったときに、精製水ではなく希硫酸(電解液)や水道水を足す。
プラスとマイナスを逆につなぐ。
工具で両方の端子に同時に触れる(火花で引火するおそれ)。
火のそばや、たばこを吸いながら作業する。

ジャンプスターターは使えるか、バイクで気をつけること
ジャンプスターターは、持ち運べる電池から電気を送って、その場でエンジンをかける道具です。
12Vの車体で、製品に二輪に使えると書かれていれば、出先で上がったときの助けになります。
つなぐ順番やセルを回してよい秒数は製品で違うため、製品の取扱説明書どおりに使います。
膨らみや液漏れのあるバッテリー、液が下限より少ない開放式のバッテリーには使いません。
かかってもバッテリーの電気が戻ったわけではないので、帰ったら充電し、かかりにくさが続くなら店で点検を受けます。
交換するバッテリーは「型式」で決める
バッテリーは車種ごとに大きさ・端子の位置・容量が違い、型式を確かめずに買うと収まらないことがあります。
型式は英字と数字を組み合わせた記号で、次の3か所で確かめます。
- いま載っているバッテリーの側面のラベルや刻印
- 車体の取扱説明書の仕様・諸元の欄
- バッテリーメーカーの適合表(車種名・年式・車体の型式で探す)
中古車は別の型式に替えられていることもあるので、載っているものと取扱説明書の両方を見ます。
探す前に、写しておくこと
・型式(英数字の並び)
・VRLA(制御弁式)か開放式か
・電圧(12Vか6Vか)と容量(Ah)
・プラスとマイナスの端子の位置
・車体の型式と年式(適合表で探すとき)
これがそろえば、ほかのメーカーの同等品も同じ条件で比べられます。
選ぶのはもとと同じ種類・同じ電圧・同等の容量のもので、開放式とVRLAは充電の制御が違うため互いに載せ替えません。
リチウムのバッテリーへ替えるときも、その車体に使えるかを店で確かめてからにします。
自分で付けるなら、電解液が入って充電済みの状態で届くタイプを選ぶと、液を注ぐ作業が要りません。
交換の手順と、古いバッテリーの出し方
交換は、エンジンを止めてエンジンやマフラーの熱が引いてから、火の気のない換気のよい場所で始めます。
燃えやすい水素ガスは主に充電中に出るので、充電を終えたばかりのバッテリーのそばでは、火の気や工具の火花をとくに避けます。
作業は保護メガネとゴム手袋をして行います。
シートやカバーを外し、プラスとマイナスの端子の位置を確かめます。
マイナス端子を先に外し、次にプラス端子を外します。
マイナスは車体につながっているため、先に外すと工具が車体に触れてもショートしにくくなります。
傾けないようにまっすぐ持ち上げ、収める場所の小石やごみを払います。
端子の向きを確かめて置き、振動で動かないよう固定具で留めます。
開放式は、排気のホースを折れないように差し込み直します。
プラス端子を先に、マイナス端子を後につなぎ、ゆるみがないか手で確かめて端子カバーを戻します。
かかったら、時計などの設定が消えていないかも見ておきます。

古いバッテリーは、買った店に引き取りを相談する
使い終わったバッテリーには鉛と希硫酸が入っていて、家庭のごみには出せません。
新しいバッテリーを買った店に引き取りを相談すれば、鉛や樹脂はリサイクルに回されます。
通販で買うなら、使用済みの引き取りがあるかを注文前に確かめておきます。
液が手や服に付いたら多量の水で洗い流し、目に入ったら水でよく洗ってすぐ眼科へ行きます。
バッテリー上がりでよくある疑問
- 押しがけでエンジンをかけてもいいですか?
-
押しがけが効くのは主にキャブレターの車体で、燃料噴射(FI)の車体は電圧が足りないとかからないことがあります。
重い車体は転びやすいので、無理をせずロードサービスを呼ぶのも手です。
- 車のバッテリーから電気をもらってもいいですか?
-
ブースターケーブルでつなぐ方法はありますが、つなぐ順番を誤るとショートや発火の原因になり、24Vのトラックからはできません。
取扱説明書に救援のしかたがあるかを確かめ、不安ならロードサービスに任せます。
充電して元どおりかかった日のうちに、次の朝に備えて済ませておきたいことは4つです。
- 端子のボルトがゆるんでいないか、手で触って確かめる
- 短距離・電装品・放置のうち、今回の原因に心当たりがあるものを1つ決める
- バッテリーを使い始めた年月を、メモか車体の近くに残しておく
- 出先で上がったときに呼べるロードサービスの連絡先を控える
充電しても数日でまたかからなくなるなら、充電をくり返さず、交換か店での点検に進みます。
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