「インカムがあれば、どれくらい離れても話せるの?」
製品に書かれた通話距離は、見通しのよい開けた場所での最大の値で、建物やカーブ、間に入る車があると実際に話せる距離はそれより短くなります。
インカム選びで迷ったら、距離の数字を比べる前に、何人で、何に使うかを決めるところから始めると候補を絞りやすくなります。
インカム選びの軸
1人でナビの音声や電話を聞くだけなら、機能を絞った手ごろなもので十分です。
2人で話すなら、相手と同じ製品か、つながることが確かめられた組み合わせを選びます。
3人以上で話すなら、接続方式(メッシュかどうか)を最優先で見るのが失敗しない選び方です。

インカムでできること
インカムは、ヘルメットの中のスピーカーとマイクで、スマホの音と仲間の声を聞いたり話したりする機械です。
| 機能 | できること | 主な使い方 |
|---|---|---|
| ナビ音声 | スマホのナビの案内をヘルメットの中で聞く | 通勤、知らない道のツーリング |
| 電話 | スマホを手に持たずに着信に出る | 仕事の連絡を受ける通勤や配達 |
| 音楽 | スマホの音楽を聞く | 1人のツーリング |
| 仲間との会話 | インカムどうしで声をやり取りする | 2人以上のツーリング |
1人で使う人の多くは、ナビの音声が聞こえるだけで、走行中に画面を見る回数がぐっと減ります。
仲間と話す予定がないなら、複数台接続の性能に高いお金を払う必要はありません。
使い方ごとに、重視する点が変わる
| 使い方 | 重視したい点 | なくてもよいもの |
|---|---|---|
| 通勤(1人) | ナビ音声と電話の聞きやすさ、毎日の充電の手軽さ | 3人以上の接続、メッシュ |
| 1人のツーリング | 電池の持ち、音楽の音質、風切り音の少なさ | 複数台接続の性能 |
| 2人のツーリング | 相手のインカムとつながるか、会話の聞きやすさ | メッシュ(2人だけなら) |
| 3人以上のグループ | メッシュ方式、全員の製品がそろうか | – |
| 配達の仕事 | 電話の聞きやすさ、防水、グローブでの操作 | 音楽の音質 |
同じ種類の製品でも値段に差が出るのは、つなげる人数、メッシュへの対応、音質、まわりの雑音を抑える機能、防水、スマホのアプリでの設定といった部分です。
自分の使い方の行に「なくてもよい」とある機能にお金をかけていないかを見ると、必要以上に高い製品を選ばずに済みます。
仲間と話すなら、接続方式を見る
ペアでつなぐ方式と、メッシュ方式
インカムどうしのつなぎ方は、1台ずつ相手を決めてつなぐ方式と、グループ全体を網の目のようにつなぐメッシュ方式に大きく分かれます。
| 接続方式 | 向いている人数 | 良いところ | 気を付ける点 |
|---|---|---|---|
| 相手を決めてつなぐ(ペア) | 2人 | 設定が簡単で、対応する製品が多い | 3人以上を数珠つなぎにすると、1台が離れたところで会話が切れやすい |
| メッシュ | 3人以上 | 走る順番が入れ替わっても、自動でつなぎ直しやすい | 基本は同じメーカーの同じ方式どうし。電池の減りが早めのものもある |
違うメーカーどうしは、つながっても機能が減る
メーカーが違うインカムどうしでも、ペアの方式で話せる組み合わせはあります。
ただし音楽を流しながらの会話や、3人以上の接続ができなくなるなど、使える機能が限られることが多いです。
一緒に走る相手がすでにインカムを持っているなら、相手と同じメーカー・同じ方式にそろえるのがいちばん確実です。

通話距離と電池の持ちの見方
通話距離の数字は、見通しのよい場所での最大の値で、実際に話せる距離はそれよりかなり短くなる前提で見ておくと、走ってから「思ったより聞こえない」となりにくくなります。
建物が多い街中、山道のカーブ、大きなトラックが間に入ったときは、特に途切れやすくなります。
グループで走るときは、先頭と最後尾が信号で分かれたら無理に追いつこうとせず、決めておいた休憩場所で合流すると、途切れても慌てずに済みます。
電池の持ち(連続使用時間)は、1日のツーリングで走る時間に、休憩の時間を足した長さより余裕があるものを選びます。
カタログの時間は会話だけ、音楽だけといった条件ごとに違うので、自分の使い方に近い条件の数字を見てください。
長い日帰りツーリングに出るなら、充電しながら使えるかと、休憩中に充電できる差し込み口の形も確かめておくと、帰り道で電池が切れる心配が減ります。
冬のあいだなど何か月も使わない時期は、電池を空のまま放っておかず、取扱説明書の保管のしかたに従ってときどき充電しておくと、春に電池が弱っていたという事態を避けやすくなります。
仲間と話しながらナビの案内も聞きたい場合は、会話とスマホの音を同時に聞けるかも製品の説明で確かめておきます。
製品や設定によっては、ナビの案内が流れるあいだだけ仲間の声が小さくなったり途切れたりするので、どちらの音を優先するかを設定で選べるものだと使いやすくなります。
風切り音と音量
走っているときの聞こえやすさは、本体の性能よりも、スピーカーが耳の位置にきちんと合っているかで大きく変わります。
聞こえにくいからといって音量を上げすぎると、まわりの車の音やサイレンに気付きにくくなるので、まずはスピーカーの位置を合わせ直します。
ヘルメットへの取り付け
本体の留め方は2種類
本体の留め方は、帽体と内装のすき間に金具を差し込むクランプ式と、両面テープで帽体の表面に貼る貼り付け式が主流です。
クランプ式は付け直しがしやすく、すき間に金具が入らない形のヘルメットには貼り付け式を使います。
ヘルメットの帽体に穴を開けたり、削ったりする取り付けはしないでください。
帽体はぶつかったときに頭を守るための部分なので、加工すると本来の守る力を損なうおそれがあります。
ヘルメットの形ごとに見ておくところ
・フルフェイス:口の前に貼るマイクが、あごの部分の内装と干渉しないか
・システムヘルメット:あごの部分を開け閉めする金具やレバーに、本体やコードが当たらないか
・ジェット:シールドを上げ下げしたとき、アームのマイクに当たらないか
・オフロード:ひさし(バイザー)の付け根や、ゴーグルのバンドと位置が重ならないか
取り付けの手順
ヘルメットをかぶった状態で、左手が届きやすい側面の、あご紐の金具や開閉部品に当たらない場所を選びます。
貼り付け式なら、貼る面の油分や汚れを拭き取ってから貼り、製品の説明どおりの時間おいてなじませます。
内装をめくり、かぶったときの耳の真ん中にくるよう、耳のくぼみ(イヤーポケット)に付けます。
フルフェイスは口の前の内側に貼るタイプ、ジェットは口元に伸ばすアームのタイプが合わせやすいです。
コードが顔や耳に当たらないよう内装の下に収め、かぶったまま声と音を試します。

スピーカーで耳が押されて痛い場合は、薄型のスピーカーに替えるか、位置を少しずらすと楽になることがあります。
ヘルメットのかぶり心地やサイズの合わせ方は、ヘルメットの選び方の記事でも取り上げています。
走行中に使うときの決まり
音量と操作に気を付ける
スマホを手に持たずにインカムで話すことは、スマホを手に持って通話する違反には当たりません。
ただし多くの都道府県の規則で、安全な運転に必要な音や声が聞こえない状態で運転することが禁じられています。
大きな音量で音楽を聞き続ける、両耳をふさいでまわりの音が聞こえない、といった使い方は避けてください。
決まりの書き方や扱いは都道府県によって違うので、住んでいる地域や走る地域の警察の案内で確かめてください。
着信への応答や設定の変更は、ボタン1つか音声で済ませ、細かい操作は止まってから行います。
電話は話しているうちに運転への注意がそれやすいので、長い話になりそうなら止まってからかけ直すと決めておくと安全です。
買う前のチェックと、よくある疑問
- 使う人数(1人・2人・3人以上)と、一緒に走る人のインカムのメーカーと方式の見当がついている
- 連続使用時間が、いちばん長く走る日の時間より長い
- 今のヘルメットに、クランプ式か貼り付け式のどちらかで付けられそうだ
- グローブをしたまま押せる大きさのボタンか、ダイヤルがある
- 雨の日も使うなら、防水の表示がある
- ヘルメットを2つ使い分けています。インカムは2台必要ですか?
-
本体は1台のまま、取り付け用の台座とスピーカー・マイクだけを追加で買える製品があります。
その場合は、本体を付け替えるだけで2つのヘルメットで使えます。
- ワイヤレスイヤホンで代わりになりませんか?
-
イヤホンはヘルメットをかぶるときに外れたり、耳が押されて痛くなったりしやすいうえ、両耳をふさぐと、まわりの音が聞こえにくくなります。
ヘルメットに付けるインカムなら、耳をふさがずに音を聞けるので、走るときはこちらのほうが向いています。
- インカムを買わなくてもいい人はいますか?
-
決まった道だけを走る短い通勤で、走行中に電話に出る必要もない人なら、なくても困らないことが多いです。
知らない道を走る機会が増えたり、仲間とツーリングに出るようになったりしたときに考えれば十分です。

仲間と話すつもりなら、一緒に走る人がどのメーカーのどの方式を使っているかを聞くのが、選ぶうえでのいちばんの近道です。
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