バイクに荷物を積むときの基本は、重いものほど低く、車体の中心に近く、左右は同じ重さにです。
この順番で積むと、荷物を載せても車体のふらつきが小さく、止まるときや曲がるときの感覚が変わりにくくなります。
サイドバッグ・シートバッグ・タンクバッグは、それぞれ「どの位置に、どんな重さのものを積むか」の役割が違うので、荷物の量よりも、積む位置で選ぶと組み合わせを決めやすくなります。

バッグの種類と使い分け
| 種類 | 付ける位置と方法 | 向いている荷物 | 気を付ける点 |
|---|---|---|---|
| サイドバッグ | 車体の後ろの左右。シートにまたがせるか、支えの金具に留める | 着替え、工具、飲み物など重めのもの | マフラー・タイヤ・チェーンに触れないこと。左右の重さをそろえる |
| シートバッグ | 後ろのシートかキャリアの上。ベルトで留める | 着替え、雨具、宿泊の荷物 | 高く積みすぎない。ベルトのゆるみ |
| タンクバッグ | 燃料タンクの上。磁石か、ベルト・専用の台座で留める | 財布、スマホ、地図など、よく出し入れする軽いもの | ハンドルを切ったときや前かがみになったときに当たらないか |
| ツーリングネット | シートやキャリアの荷物の上からかぶせる | 形のそろわない荷物を押さえる | フックの外れ。ネットの垂れ |
サイドバッグは、支えの金具とセットで考える
サイドバッグは低い位置に重さを置けるので、重い荷物を積むのにいちばん向いた場所です。
そのかわり、バッグがマフラーに触れると熱で溶けたり焦げたりし、タイヤやチェーンに巻き込まれると転倒につながります。
車種に合うサイドバッグ用の支え(サポート)を付けて、バッグと車体のあいだにすき間を作るのが基本です。
マフラーの近くに付ける側は、耐熱の当て布があるバッグを選ぶと、熱の影響を受けにくくなります。
サイドバッグには、左右のバッグをベルトでつないでシートにまたがせる形と、片側ずつ支えの金具に留める形があります。
またがせる形は付け外しが手軽ですが、左右の重さが違うと重いほうへずり下がり、タイヤやマフラーに近づきやすいので、重さをそろえることがより大切になります。
金具に留める形は、取り付けに手間がかかる代わりに位置が安定し、長いツーリングで重い荷物を積む人に向いています。
シートバッグは、容量を変えられるものが便利
シートバッグはベルトで付け外しできるものが多く、キャリアのない車体でも使いやすいのが良いところです。
ファスナーで容量を広げられる形なら、日帰りでは小さく、泊まりでは大きく、と使い分けられます。
上に積み重ねるほど重さの位置が高くなるので、背の高い荷物の山にならないよう、横に広く低く積むのがこつです。
タンクバッグは、留め方が車体で決まる
磁石で留めるタンクバッグは、鉄でできた燃料タンクにしか付きません。
樹脂のタンクや、タンクの上がカバーで覆われた車体では、ベルトで留める形か、給油口のまわりに専用の台座を付ける形を選びます。
磁石で留める形はバッグとタンクのあいだに砂ぼこりが入ると塗装に細かい傷が付くので、付ける前にタンクとバッグの底を軽く拭く習慣をつけておきます。
上面の透明なポケットにスマホを入れる場合も、走りながら画面を見続けるのは違反になるので、確かめるのは止まってからです。
ツーリングネットは、フックをかける場所で決まる
ツーリングネットは、荷台の枠やタンデムステップの付け根など、動かない丈夫な部分にフックをかけます。
ウインカーの根元や配線、熱くなるマフラーにかけるのは避けてください。
余ったネットや外れたフックがタイヤやチェーンに巻き込まれると危ないので、かけたあとは車体の下側までネットが垂れていないかを見ておきます。
積める量の決まり
荷物が落ちないようにベルトやネットでしっかり固定することも、法律で求められている運転者の務めです。
走っている途中で荷物が道路に落ちると、後ろの車やバイクの事故の原因になります。
荷物の積み方
荷物を床に並べ、重いもの・軽くてかさばるもの・よく出すものの3つに分けます。
重いものはサイドバッグの底に入れ、左右の重さがだいたい同じになるように振り分けます。
軽くてかさばるものはシートバッグに入れ、なるべく前寄り(乗る人に近い側)に載せます。
ベルトを締めたら、バッグを手で前後左右に揺すり、ずれたり傾いたりしないかを確かめ、余ったベルトの端は結んでまとめます。
荷物は走り出すと少しずつ落ち着いてゆるむので、最初の休憩でベルトを締め直します。

荷物を積んだ状態では、止まるまでの距離が伸び、曲がるときの車体の傾き方も変わります。
初めての組み合わせで出かけるときは、前の日に全部積んで近所をひと回りし、発進・停止・曲がる感覚を確かめておくと当日に慌てません。
積みすぎのサイン
こうなったら荷物を減らす
止まりかけの遅い速度で、ハンドルがふらふらする
荷物でナンバープレート、テールランプ、ウインカーが隠れている
乗り降りのときに足が荷物に引っかかり、またぎにくい
ベルトやネットの端が垂れて、タイヤやチェーンに近づいている
サイドバッグの左右で、高さや重さがはっきり違う
どれか1つでも当てはまったら、そのまま走り出さず、荷物を減らすか積み直してください。
荷物を減らせないときは、宿に先に送る、現地で買えるものは持って行かない、といった方法でも重さを減らせます。
帰りにお土産が増えることも考えて、行きの荷物はバッグの容量いっぱいまで詰めないようにしておくと、帰り道で積みすぎになりません。
雨への備え
「防水」と書かれたバッグでも、ファスナーのすき間や縫い目から水がしみることがあります。
着替えや電子機器は、バッグに入れる前にビニール袋や防水の袋で小分けにしておくと、バッグの中まで濡れても中身を守れます。
防水でないバッグには専用のレインカバーを用意し、雨が降りそうな日は出発前にかけておくほうが、走っている途中で止まってかけるより楽です。
雨具そのものは、止まったらすぐ取り出せるシートバッグの一番上かタンクバッグに入れておきます。
雨の中を走ったバッグは、帰ったら中身を出して口を開け、日陰で乾かしてからしまうと、においやカビを防げます。
ツーリングの持ち物と、入れる場所
持ち物を決めるときは、「途中で出すもの」ほど手の届きやすい場所に入れると、休憩のたびに荷物をほどかずに済みます。
パンクの応急修理剤を持って行く場合も、使ったあとは近くの店でタイヤを見てもらう前提で考えてください。

日数ごとの組み合わせ
| 出かけ方 | 組み合わせの例 | 選ぶときに見るところ |
|---|---|---|
| 日帰り | タンクバッグか小さめのシートバッグ1つ | 雨具と貴重品が入るか |
| 1泊 | 容量を広げられるシートバッグ+タンクバッグ | 着替えを入れても高く積み上がらないか |
| 2泊以上・キャンプ | サイドバッグ+シートバッグ+タンクバッグ | 重さの合計が車体とキャリアの上限に収まるか |
最初から全部をそろえる必要はなく、日帰りならタンクバッグかシートバッグ1つから始めて、泊まりが増えたら足していくほうが、使わないバッグを抱えずに済みます。
買う前には、次の3つだけは確かめておきます。
- 付け方が車体に合うか:サイドバッグの支えの金具が車種にあるか、タンクバッグの磁石がタンクに付くか
- マフラーとの距離:サイドバッグを付けたとき、マフラー側に十分なすき間が取れるか
- 重さの上限:バッグ・キャリア・車体の上限の見当がついているか
反対に、荷物が雨具と財布くらいの日帰りなら、シート下の収納やジャケットのポケットで足りて、バッグを買わなくてよいこともあります。
通勤でバッグを使う場合は、駐輪のたびに外して持ち歩けるかも選ぶときの大事な条件です。
ベルトで留めただけのバッグは、付けたまま離れると中身ごと持ち去られるおそれがあるので、ワンタッチで外せる台座の形や、肩にかけて持ち歩ける形が便利です。
毎日の通勤や買い物で荷物を積むなら、鍵がかかって雨にも強いリアボックスのほうが向いていることもあり、選び方はリアボックスの記事で取り上げています。

荷物を積んだら、走り出す前にもう一度後ろに回り、ナンバーと灯火が見えているかと、左右のバッグの高さがそろっているかだけは確かめてください。
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