バイクで雨の中を走ると、水は首元・袖口・腰・足首のすき間から入ってきます。
走っている間は雨が上から降るだけでなく、走行風に押されて前から体に当たり続けるので、傘をさして歩くときの雨とは入り方がまるで違います。
バイク用のレインウェアは、生地の防水性能と同じくらい、このすき間をどうふさげるかで濡れ方が決まります。
上下セパレート・つなぎ・ポンチョの違い
| 形 | 良いところ | 弱いところ | バイクでの向き不向き |
|---|---|---|---|
| 上下セパレート | 上だけ、下だけでも着られる。着脱が早い | 上着とパンツの境目(腰)から水が入りやすい | 通勤・ツーリングとも使いやすい |
| つなぎ(ワンピース) | 腰のすき間がなく、水が入りにくい | 着るのに時間がかかり、トイレや休憩で不便 | 長い時間、雨の中を走る日に向く |
| ポンチョ | かぶるだけで着られる | すそが風であおられ、体に巻きつく | 走行には向かない |
| 普段使いの雨がっぱ | 安く、手に入りやすい | すそがばたつき、湿気が抜けにくいものが多い | 短い距離の間に合わせ |
通勤なら、上下セパレートを選ぶ
駐輪場で着て、職場ですぐ脱ぎたい通勤では、上下セパレートがいちばん扱いやすい形です。
弱点の腰まわりは、上着の丈が長く、前かがみでもパンツの腰に十分かぶさるものを選べばかなり減らせます。
朝は小雨で帰りは止んでいる、という日も多いので、上下を別々に脱ぎ着できることは思った以上に便利です。
ポンチョと普段の雨がっぱは、走行用にしない
ポンチョは、走り出すとすそが風であおられ、顔の前にめくれ上がったり、後輪のまわりに垂れたりするおそれがあります。
普段使いの雨がっぱも、すそや袖を締められないものは同じようにばたつくので、走るなら、すそと袖口を締められるバイク向けのものを選びます。
毎日着るのか、出先の雨に備えるのかで選び分ける
雨の日も毎日通勤するなら、生地がしっかりしていて、縫い目の防水処理と透湿の性能が高いものを選びます。
週に何度も脱ぎ着するので、前のファスナーやすその開け閉めがグローブのままでもしやすいかも、毎朝の手間を左右します。
晴れの日のツーリングで「降られたときのため」に積むなら、小さくたためて軽いことが先に来ます。
小さくたためるものは生地が薄いことが多いので、長い時間の強い雨では、厚手のものより中までしみやすいと考えておきます。
風を通さない生地なので、春や秋の冷え込んだ夕方には、上着だけを防風の1枚として羽織る使い方もできます。

防水と蒸れにくさは、耐水圧と透湿度で読む
レインウェアの商品説明でよく見る数字が、「耐水圧」と「透湿度」の2つです。
耐水圧は、水を通さない強さ
耐水圧は、生地の片側から水の圧力をかけていき、反対側に水がにじみ出たときの圧力です。
単位は「mm」(水の柱の高さ)か「kPa」で書かれ、数字が大きいほど水を通しにくい生地です。
単位が違う製品を比べるときは、1kPaがおよそ102mmと覚えておくと換算できます。
透湿度は、蒸れを外へ逃がす力
透湿度は、体から出た湿気が生地を通って外へ抜ける量で、数字が大きいほど蒸れにくくなります。
ただし透湿度は、測る方法や条件が違うと、同じ生地でも数字が大きく変わります。
数字の横に試験方法の名前(JIS L 1099の◯◯法など)が書かれていれば、同じ方法で測った製品どうしで比べます。
方法が書かれていない数字は、比べる材料としては参考程度にとどめます。
透湿の生地でない雨がっぱは、夏の通勤で汗をかくと、外からの雨ではなく内側の汗で濡れることになります。
耐水圧は、いくつあれば足りますか?
バイク用のレインウェアに「これ以上あれば十分」という決まった基準はありません。
走行中は雨が風で生地に押しつけられ続けるので、長く雨の中を走る人ほど、同じ単位で比べて数字の高いものを選びます。
そのうえで、縫い目の裏にテープが貼られているか(縫い目の防水処理)を確かめます。
耐水圧は生地を測った数字なので、縫い目やファスナーから入る水は含まれていません。

撥水は、表面で水をはじく加工
防水の生地の表面には、水を玉にして転がり落とす撥水加工がされているものが多くあります。
撥水の強さは、生地に水をふきかけてぬれ方を見本と比べる試験で、1級から5級の等級で表されます。
洋服の品質表示で「はっ水性」とうたうには、その試験で2級以上であることが求められています。
撥水は使ううちに落ちていき、表面が水を吸ってしみたように濡れると、生地が重く冷たくなり、湿気も抜けにくくなります。
水をはじかなくなってきたら、表示に従って洗ってから衣類用の撥水スプレーをかけ直します。
サイズとフード・すその作りを見る
ジャケットとブーツの上から着られる大きさにする
バイクのレインウェアは、ジャケットの上から着て、パンツはブーツを履いたまま通すのが前提です。
普段の服のサイズで選ぶと、肩のプロテクターでつっぱり、前かがみで背中がずり上がることがよくあります。
試着は、乗るときのジャケットを着たまま、腕を前に出して袖が手首を覆うか、前かがみで腰が出ないかまで見ます。
パンツは、すその横にファスナーがあって大きく開くものなら、ブーツを脱がずに履けます。
フードは、走るときにかぶらない
ヘルメットの上からフードをかぶって走ると、フードが風でふくらんで首を後ろへ引っぱり、横や後ろが見えにくくなります。
周りの音も聞こえにくくなるので、フードは走る前に襟の中へしまうか、取り外せるものなら外しておきます。
首元は、フードの代わりに襟が高く、面ファスナーで首まわりを締められるものにすると、首から入る雨を減らせます。
フードは、雨の中で止まって待つときや、降りて歩くときにかぶるものと考えます。
すそと袖口は締められるもの、色は明るいもの
パンツのすそがばたつくと、ステップやペダルに引っかかったり、チェーンに近づいたりするおそれがあります。
すそと袖口に面ファスナーのベルトやゴムがあり、ぴったり締められるものを選びます。
雨の日は周りの車からも見えにくくなるので、明るい色や、背中・腕に反射材が付いたものにしておくと、見つけてもらいやすくなります。

濡れないための、着る順番
同じレインウェアでも、どれを先に着て、どこを外にかぶせるかで、水の入り方が変わります。
考え方は、上にあるものを下にあるものの外へかぶせ、水が外へ流れ落ちる重なりにすることです。
ブーツを先に履き、レインパンツのすそをブーツの外側にかぶせてすそのベルトを締めます。
上着のすそをパンツの腰の外に出し、前かがみでも腰が出ないかを確かめます。
前のファスナーと襟の面ファスナーをいちばん上まで閉め、フードは襟の中へしまってからヘルメットをかぶります。
グローブをはめたら、グローブの手首を袖口の中に入れてから袖口のベルトを締めます。
バイクにまたがってハンドルを握り、手首・腰・足首にすき間ができていないかをもう一度見ます。
強い雨では、防水のブーツでも縫い目やファスナーから水がしみてくることがあります。
その場合は、ブーツの上からかぶせる防水のブーツカバーを足すと、足元が濡れにくくなります。
ブーツそのものの防水の選び方は、ブーツとライディングシューズの選び方の記事で扱っています。
雨の日の走り方と、レインウェアの持ち運び
滑りやすい場所の上では、操作を急がない
雨の日は、晴れの日と同じつもりで走らないことがいちばんの備えです。
雨の日に気を付けたい場所と走り方
白線や横断歩道の塗装、マンホールのふた、工事の鉄板、ぬれた落ち葉は、雨でとても滑りやすくなります。
その上では、強いブレーキ、急なハンドル操作、急なアクセルを避け、できるだけまっすぐ通り過ぎます。
車間は晴れの日より長くとり、ブレーキは早めに、少しずつかけます。
降り始めは、路面のほこりや油が浮いて滑りやすくなることがあります。
前が見えにくいほどの強い雨や雷のときは、無理に走り続けず、安全な場所で雨宿りをします。
雨の日はヘルメットのシールドも曇りやすくなるので、曇り止めを出かける前に準備しておくと、走り出してから慌てずに済みます。

晴れの予報でも積んでおき、帰ったら乾かす
レインウェアは、降ってから買いに行くものではなく、いつもバイクに積んでおくものです。
- 収納袋に入れて、シートの下やバッグのすぐ取り出せる場所に入れてある
- 上下そろっていて、ジャケットの上から着られるサイズになっている
- 帰ったら袋から出し、丸めたまま放置せずハンガーにかけて日かげで乾かしている
- 泥はねの汚れは、乾いてから表示どおりに落としている
- 水をはじかなくなったら、洗って撥水スプレーをかけ直している
- 縫い目のテープがはがれてきたら、買い替えを考えている
濡れたまま袋に入れっぱなしにすると、においやカビ、縫い目のテープのはがれの原因になります。
雨のあとの車体の手入れは、洗車の手順の記事にまとめています。
高いレインウェアを家に置いておくより、手ごろなものでもバイクに積んである一着のほうが、出先の雨では役に立ちます。




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