分厚い冬用グローブを着けているのに、20分ほど走ると指先が痛くなってきて、ブレーキに指をかけるのもおっくうになる。
走行風を受け続ける手は、グローブを厚くするだけでは温めきれないことがよくあります。
そこで候補になるのが、手のひらの側から温めるグリップヒーターと、手を風から隠すハンドルカバーです。
グリップヒーターは、製品より先に「車体の電気に余裕があるか」と「取り付けを自分でやるか店に頼むか」を決めてから選ぶと失敗しにくくなります。
電気を使わずに済ませたいなら、ハンドルカバーという選び方もあります。

グリップヒーターとハンドルカバーの違い
グリップヒーターは手のひらを温める
グリップヒーターは、グリップの中や表面に組み込んだ電熱線で、握っている手のひらを直接温めます。
見た目や操作感がほとんど変わらないのが良いところですが、手の甲は走行風を受けたままなので、真冬は甲側から冷えてくることがあります。
ハンドルカバーは風そのものを止める
ハンドルカバーは、グリップとレバーをまるごと袋状のカバーで覆って、手に当たる風をさえぎる道具です。
電気を使わず、取り付けもかぶせてベルトで留めるだけのものが多いので、いちばん手軽に始められる手の防寒です。
一方で、走行中の風圧でカバーがつぶれてレバーを押してしまったり、手元が見えずスイッチを押しにくくなったりすることがあります。
取り付けたら、ブレーキレバー・クラッチレバー・ウインカーやホーンのスイッチが、カバーを着けたままいつも通り操作できるかを、止まった状態で必ず確かめてください。
カバーに手を入れたり出したりする動きにも慣れが必要なので、最初は交通量の少ない道で試すと安心です。
どちらを選ぶか、併用するか
| 比べる点 | グリップヒーター | ハンドルカバー | 併用 |
|---|---|---|---|
| 温まり方 | 手のひらから温める | 風を止めて冷えを防ぐ | 両方の効果が重なる |
| 電気 | 使う(車体の発電に余裕が必要) | 使わない | ヒーター分を使う |
| 取り付け | 配線が必要。店に頼むことも多い | かぶせて留めるだけが多い | ヒーターの取り付けが前提 |
| 見た目・操作感 | ほとんど変わらない | 大きく変わる。レバー操作の確認が必要 | カバー側の確認が必要 |
| 向いている人 | 見た目を変えたくない、走る距離が長い | まず安く始めたい、スクーターで短い通勤 | 早朝や真冬も毎日走る |
併用するとカバーの中に熱がこもってかなり暖かくなるので、ハンドルカバーと併用するときは、ヒーターの温度は弱めから始めて、熱すぎない段階を探してください。
グリップヒーターのタイプと選び方
グリップヒーターには大きく分けて、車種専用の純正オプション、グリップごと交換する社外品、今のグリップの上から巻き付ける社外品の3つがあります。
| タイプ | 取り付けの手間 | 気を付ける点 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 純正オプション | 店で付けるのが基本 | 対応車種が限られる。価格は高め | 見た目と配線をきれいに収めたい |
| グリップ交換型 | グリップの交換と配線が必要 | ハンドルの太さとグリップの長さの適合 | しっかり温めたい、店に頼める |
| 巻き付け型 | 比較的少ない | グリップが太くなり、握り心地が変わる | 今のグリップを残したい |
買う前に必ず見てほしいのは、自分の車体のハンドルの太さとグリップの長さに合うかです。
国産車はハンドルの太さが22.2mmのものが多いですが、車種によって違うので、製品の適合表に自分の車種が載っているかを確かめてから選んでください。
ハンドルの端にバーエンドやハンドルガードが付いている車種は、そのまま付けられるかも適合表で見ておきます。

もう1つの判断材料が、温度の段階の数と、バッテリーの電圧が下がると自動で止まる機能があるかです。
電圧を見て自動で止まる機能が付いた製品なら、うっかり使いすぎてバッテリーが上がる心配を減らせます。
電源とバッテリー負荷の考え方
グリップヒーターは、エンジンが回って発電している電気の「余り」で動かすものだと考えてください。
車体が作れる電気の量にはもともと上限があり、ライトなど走るのに必要な電装品がその多くを使っています。
その残りより多くの電気を使い続けると、足りない分がバッテリーから持ち出され、少しずつバッテリーが弱っていきます。
とくに気を付けたいのは、ほかの電装品との足し算です。
スマホの充電用USB電源、ドライブレコーダー、ETC車載器、電熱ウェアなどをすでに付けているなら、グリップヒーターを足したときの合計で余裕があるかを見ます。
また、渋滞や信号の多い道でエンジンの回転が低い時間が長い、片道10分ほどの短い距離を毎日くり返すといった使い方では、使った分の充電が追いつきにくくなります。
冬は気温が低いぶんバッテリーの力も落ちやすいので、バッテリーの点検や充電器の使い方は、バッテリー交換とバッテリー上がり対策の記事も参考にしてください。
取り付けの前に決める「自分で」と「店で」の線引き
グリップヒーターの取り付けは電気の配線とスロットル(アクセル)まわりの作業を含むので、手を付ける前に、どこまで自分でやるかを決めておきます。
自分で付けてよい範囲
ハンドルカバーの取り付けと、レバー・スイッチ操作の確認
車体にグリップヒーター用のアクセサリー電源の差し込み口がすでにあり、製品に付属のコネクタを差すだけで済む取り付け
この2つ以外の作業は、すべて店に任せる範囲と考えてください。
店に任せる作業
バッテリーから直接電源を取る、ヒューズを追加するなどの配線作業
配線の通り道を決めて車体に固定する作業
カウルやタンクを外さないと配線を通せない車種
スロットル側のグリップを外して交換する作業(接着や、スロットルの戻りに関わるため)
純正オプションの取り付け
コネクタを差すだけで済むかどうか判断がつかないときも、無理をせず販売店やバイク用品店に頼んでください。
店に頼む場合は、製品の代金に加えて取り付けの工賃がかかります。
工賃は店や車種、カウルを外す手間があるかどうかで大きく変わるので、製品を買う前に、車種を伝えて見積もりを聞いておくと、総額で比べられます。
製品を持ち込んでの取り付けを受け付けているかどうかも店によって違うので、通販で買う予定なら、先に取り付けてもらえる店を探しておくと二度手間になりません。
純正オプションがある車種なら、販売店でまとめて頼めるぶん、適合や配線の心配が少ないのも判断材料になります。
取り付けの基本の流れ
コネクタを差すだけで済まない取り付けは店に任せる前提ですが、作業の流れを知っておくと、受け取るときに確かめる点がわかります。
製品の適合表と、車体の取扱説明書で、付けられるか・電気が足りるかを確かめます。
配線を仮に置いて、ハンドルを左右いっぱいに切っても引っ張られない通り道を決めます。
接着剤を使う製品は、説明書に書かれた乾燥時間を待ってから走ります。
エンジンやマフラーの熱くなる部分、動く部分に配線が触れないように留めます。
スロットルを回して離したときにすっと全閉まで戻るか、スイッチで温度が切り替わるかを確かめます。
スロットルの戻りが悪いときは乗らない
グリップの交換後に、スロットルが引っかかる、手を離しても戻りきらないと感じたら、その状態で走らないでください。
グリップがハンドル側の部品に当たっていることなどが考えられるので、取り付けた店か販売店で見てもらってください。

温かさを引き出す使い方
走り出す前、エンジンをかけてからスイッチを入れてグリップが温まるまで少し待つと、最初の冷たさをかなり減らせます。
ヒーターだけで使う日の走り出しは、強めにして冷えたグリップを早く温め、手が温まったら弱めに下げると、熱すぎず電気の使いすぎも防げます。
ハンドルカバーと併用している日は熱がこもりやすいので、強めからではなく弱めから始めてください。
エンジンを止めたままスイッチを入れておくと、発電がないぶんバッテリーの電気だけが減っていくので、エンジンを切るときは必ずヒーターも切ってください。
グローブは、中綿が厚すぎないもののほうがグリップの熱が手に届きやすいです。
グリップヒーターを付けたら、真冬用の分厚いグローブから防風性のある少し薄手の冬用グローブに替えると、温かさと操作のしやすさの両方が良くなることがあります。

原付やスクーターにも付けられますか?
付けられる製品はありますが、排気量の小さい車種ほど発電量の余裕が少ないことが多いです。
まずは自分の車種に純正オプションや適合する製品があるかを確かめ、電気の余裕は販売店に聞いてから決めてください。
電気の余裕が少ないなら、ハンドルカバーから始めるのも現実的な選び方です。
体全体の寒さ対策(インナーやネックウォーマーの重ね方、気温別の装備)は、冬の服装と防寒グッズの記事で詳しくまとめています。
製品を選ぶ前に、まず車体の取扱説明書の電装や仕様のページを開き、今付けている電装品と合わせて電気の余裕がどれくらいあるかを確かめるところから始めてください。





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